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蛙なく不審尋問蛙なく 名もなき小さき力なき それでも声をあげる 草や路上 汗にまぎれた生活の詩


by tatazumi
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人生の詩 中宮竜善4

寄場日雇・野宿生活 私の出会った詩と詩人50 橘安純

人生の詩           中宮竜善4





●同志世界

うす汚れた私の姿を

誰もが どことなく見て

そして 爪弾きするかのように

声をかけてくれることすらなく

遠ざかり 私の前から離れてゆく。

人は誰も この地上で生まれ育ち

言語はちがっても

同じ人間であることにかわりない。

人間として生活を営む場が

どこで生活あろうとも

人間であることにかわりない

私の心情を分かってほしい

●我身の心

夕日の沈む路地から路地へ

当てもなく廃品物資を

貪るように、集めて廻り

一日の糧として金品に変える時の

空しさを誰が知る。

突風が吹き抜け、寒さに体をふるわせ

ビルの軒先を転々と寝ぐらをさがし

さまよい歩き

人の生活の安眠すら知らず

寒風に身をさらす惨めな己が姿の思いを誰が知る。

*貪る:むさぼる 惨め:みじめ

●日々の如く

世間は 野良 流れ者と

我々を軽蔑し、かつ恐れている

我々も同じ世間に生まれ

生活を営んでいる人間だと知ってほしい



我々は一般社会で嫌われている

三Kという仕事に日々の糧を求め

生活の灯を精一杯かかげた生活を

営んでることを知ってほしい



我々には日々仕事ができるわけではなく

仲間の全てが仕事にありつけるとは限らない。

その日、その日の暮らしで枕する所すらなく

野宿に追いやられ

貧窮の生活にあえいでいる仲間がいることを知ってほしい

 *糧:かて 貧窮:ひんきゅう

●流変街

放浪の心を秘め、

憧れと夢を抱き、

この街へたどりつき

見れば、なぜか人雑でうすく暗く

夢も消え、心満たすことも出来ず

誰からも見離され

一人ぽっちの流変街なり。

雑街の中から新芽が生まれ育ち

若木の街に望み抱き歩み寄れども

身を寄せる所なく 流変街なり。

●路地裏人生

この地にある各路地には

隠れた人生があり

一人、一人の生命を育む

路地裏に人生という流れが生きている

どこの街にもある路地なのに

この地の路地裏には人の心を引き寄せ

命を与えてくれる息吹がある。

流れ歩く一人、一人の心に

ふんわりとした温かい綿雲を与えてくれる路地裏人生

そこには人生の苦しみ、悲しみが漂うなのに なぜか

知らず、知らず心が引き寄せられ

生きる勇気を与えてくれる

この地の路地裏にも

密やかで、確かに人生がある。
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by tatazumi | 2011-03-13 11:18 | 中宮竜善 | Comments(0)